2012年6月13日水曜日

体内リズムと「時間治療」


「時間治療」とは

薬を投与する時間を変えるだけで、副作用が軽減でき治療効果が高まる「時間治療」というものが話題になっています。これは、がんやリウマチ、高血圧など、さまざまな病気に効果が見られる画期的な治療方法とのことです。

 たとえばリウマチの場合、病気の原因物質の分泌量は午前3時頃にピークとなるため、その時間に薬の効果が最大になるよう、午後9時頃に服薬すればよいのだそうです。炎症が起りやすい時間、細胞分裂が盛んなる時間など、人間の体の機能にはすべてリズムがあり、この「生体リズム」を把握、コントロールすることで、病気を治すことができるとのことです。逆に、生体リズムが乱れると、体調を崩し病気になりやすくなります。ただし、時間治療はまだ研究段階のものが多く、治療を受けられる医療機関はごく限られています。

 この生体リズムが自然に整っている(リセットできる)人は「毎日、目覚まし時計がなくても同じ時刻に起きられ、寝起きでもすぐに活動できる。夜には自然に眠くなり、同じ時刻に眠ることができる」(大阪市立大学大学院理学研究科・平澤栄次教授)ということです。
 そして、生体リズムを整えるには、2つのポイントがあります。一つが朝食をきちんと摂ること。これにより体内時計がリセットされます。前日の夕食との間隔が長いほど、体内時計の乱れを直す効果が大きいので、朝食は欠かしてはいけません。そして、二つ目は脳の松果体から出るメラトニンというホルモンの分泌です(松果体には、他の脳内組織の50倍ものセロトニン(メラトニンの分泌を促進する脳内物質)が含まれています)。朝に太陽光を浴びると、その約16時間後にメラトニンが分泌されますが、これも体内時計をリセットする働きがあるといわれています。

 太陽光については、毎朝同じ時間に起きて太陽の光を浴びるのが理想的ですが、他の光でも代用できます。「目の中にある光を感知するガングリオン細胞は、太陽光の青い光に反応しますが、蛍光灯などの光にも含まれます」(女子栄養大学・香川靖雄副学長)。ある程度の明るさが必要(2500~3000ルクス)ですが、30分間浴びればいいそうです(ただし直視は厳禁!)。布団から出る前に、30分間浴びながら本を読むのもいいでしょう。
 メラトニンは、分泌量が年齢とともに低下し、65歳以上では、10代の20分の1程度までに減少します。高齢になると睡眠の質が低下し、夜中に何度も目が覚めてしまうのは、これも一因だと考えられています。「とくに高齢者は光に注意しなければなりません。また、認知症の人はメラトニンがほとんど出ないと言われている。その成分を補うために、認知症の薬に加えてメラトニンと同じ作用の薬を服用する手もあります」(東京女子医科大学東医療センター・大塚邦明病院長)。

 重要なことは、メラトニンの原料は“セロトニン”だというです。メラトニンを補う錠剤を飲んでも脳内にはいきません(錠剤成分は血液脳関門を通過しません)ので、脳内のセロトニンを増やすことが重要です。


■体内リズムとセロトニン

 体内リズムでわかりやすいのは、睡眠と覚醒の交代でしょう。しかし、その他にも、体温、血圧、心臓の心拍数、酸素の消費量、物質の代謝、ホルモンの分泌などが、1日の昼夜リズムに従って調節され、効率よく快適に生活できるように働いています。

 体内時計は、病気の発症や症状の重さにかかわっていることが古くから知られています。例えば、心筋梗塞などの虚血性心疾患は、起床後3時間以内に起りやすい病気ですが、これは朝に血圧や脈拍が急に上がって心筋の酸素消費量が増えることなどが原因とされています。この事を利用して、最も効果的な時刻に投与するのが「時間治療」という研究です。

睡眠の質の低下が体内リズムを狂わす!

生体リズムの維持調整には、夜間の睡眠の質が重要と考えられています。ところが、ストレス・夜間勤務・暴飲暴食などで、睡眠の質が損なわれると、上図のような生体リズムに狂いが生じ、右図のような疾患が発症したり、基礎疾患が重症化したりと、身体に様々な悪影響が及ぶことが考えられます。

メラトニンのピークは午前2~3時!

体内リズムをつかさどる脳内神経伝達物質メラトニンは、体内では約24時間の日周期にしたがって作られており、主に日中よりも夜間に多く作られるものです。午前2時・あるいは3時頃にそのレベルはピークに達します。
 そして、メラトニンの原料となるのがセロトニンです。リラックスハーブといわれる「ラフマ」によるセロトニン活性で、「体内リズムのリセット」に期待ができます。寝る前のラフマ商品の1粒は非常に重要です。



いつもありがとうございます。
愛・感謝 五月雨ジョージ


4 件のコメント:

  1. 突然すみません。
    私は、睡眠について学んでいる大学生です。
    太陽の光を浴びることで睡眠障害が改善されるか、というような内容の卒業研究をしようと考えているところです。
    そこで、質問があるのですが…
    2500〜3000ルクスの光を30分程度浴びると良いというのは、何か根拠となる研究はされているのでしょうか?

    実施する前に、照度と時間の根拠となる研究を見つけてきなさいと言われています。
    教えていただけると有難いです。
    よろしくお願いします。

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    1. 高岡様;

      メールありがとうございます。
      2500~3000ルクスの光の件ですが、私自身も何かの研究文献を見て記載したものと思います。申し訳ございませんが、ちょっと時間をください。ちょっと思い起こして調べてみますね。
      ちなみに、私は現在「うつとラフマとセロトニンの研究」及び「LED光とテラヘルツ波の研究」をしております。

      今後とも宜しくお願いいたします。

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    2. 高岡様;

      「2500~3000ルクスの光」の件、思い出しました。

      若者に多い「睡眠相後退症候群」の治療法の一つに「光療法」があります。これは毎朝30分から2時間程2500~3000ルクスの光を浴びる療法で、これにより体内時計をリセットするというものです。

      2500~3000ルクスの根拠は「自然光」です。

      朝、晴れた日に窓から差し込む光が2500ルクス以上。曇りの日でも1000~3000ルクス(野外なら3000~4000ルクス)あります。
      東京の国立精神・神経センターの高橋清久名誉総長(2003年当時)が体内時計のリセット方法として述べています。朝の自然光と同程度の明るさの光を浴びなければ体内リズムを整えることができないのだそうです。

      高岡さん、こんな回答でよろしいでしょうか?
      「本説伝」では他にも人間の体と健康にかかわる様々なテーマを時代性に合わせて扱っています。今後とも宜しくお願いいたします。

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  2. ありがとうございます。

    光療法について、もう少し調べてみようと思います。あと、「国立精神・神経センターの高橋清久名誉総長」という方についても調べてみます。

    お忙しい中、ご回答いただきありがとうございます。

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