2012年10月12日金曜日

微小循環基礎講座① 「新・厄年」の考え方


エビデンスのある新厄年?

厄年に関する最も古い記述は平安時代にあります。そして現在の厄年は江戸時代に定着したとのことです。江戸時代は30代前半だった平均寿命が、現在ではだ男女平均で82歳を超えるまでに伸び、生活習慣も変わりました。

「年齢研究所」というところが、病院で保険診療を受けた患者の年齢や性別、病名、治療法などが明記されている75万人分のレセプトデータを分析して、病気が発症しやすい年齢を算出し「新・厄年」と名付けました。
 その中で注目されたのが、健康寿命を損ねる大きな原因となっている7大疾患です。7大疾患は、脳血管疾患、心疾患、認知症、関節疾患、骨粗しょう症、糖尿病、そして、がんです。昨年1年間に発症した患者の年齢と発症率を調べると、7大疾患を総合した発症率が一段と上がる年齢が判明しました。男性で24、37、50、63歳。女性で25、39、52、63歳でした。注目は男女とも63歳が、7疾患の発症率が急上昇する「大厄」となっていることです。
 男性24、女性25歳は、社会人になってから食生活の乱れが生じ生活習慣を誘発します。
 男性37歳は既婚者も多くなり、仕事や家庭のストレスも多くなります。女性の39歳で気をつけなければいけないのは“がん”です。乳がんは30代から徐々に増加していく傾向があります。
 50歳の男性の場合;「50代で管理職になってから急に体の不調を訴える人は意外と多いんです。それは、ストレスが原因で男性ホルモンの分泌が低下しているためです」(昭和大学藤が丘病院泌尿器科教授)。50歳という新・厄年に病状が悪化すると、取り返しのつかないことになります。女性の52歳は、主に女性ホルモンが関係しています。「女性ホルモンの低下に伴って、さまざまな自覚症状が現れますが、こうした不調を更年期障害だからと片付ける人が多いですが、それは非常に危険です」(汐見台病院産婦人科・早乙女智子副科長)。
 そして、男女ともに63歳の大厄は、女性はホルモンバランスの低下から、男性は、定年から生活環境が変わり、仕事を失った喪失感や経済的な不安といったストレスが生じ、さまざまな病気のリスクが増えてきます。そして、来る2013年に新・厄年を迎える人が、向こう20年間で最多の680万人になります。茨城キリスト教大学・板倉弘重名誉教授は「厄年だから気をつけるのでは遅い。日頃の習慣の蓄積が病気の発症に結びつきます。厄年が近づいた時点で、生活を振り返って改善し、気をつけることです」と言います。新・厄年に関連する疾患は、血液・血流・血管が関わる微小循環の領域です。基礎講座で詳しくお伝えします。


康復医学の基本 微小循環基礎講座①

■微小循環は健康維持の本質

康復医学は、治療後の社会復帰や日常生活の質の向上など、人間の身体を本来あるべき状態に回復させるため医学です。そのポイントの一つが、血液を隅々まで正常に流す“血流”です。そして、血液が重要な機能を果たす場所が「微小循環」です。

 血管は心臓の動脈から流れはじめます。そして、全身の末梢に進むにつれて血管は細くなり、口径の小さい一層の内皮細胞からなる毛細血管になります(上図)。その末端の循環システム(細動脈→毛細血管→細静脈)が微小循環です。
 微小循環での血液は、赤血球どうしが適度な間隔を持って、弾力性(変形能)が良い状態で毛細血管に入ります。そして微小循環領域の毛細血管で、組織細胞への酸素と栄養素を送り出しています(中図)。微小循環領域では、赤血球が正常でも、血液粘度が高く赤血球が凝集し血管全体も色濃くなり変形能も低下している状態や、細動静脈と毛細血管の接合部分にある括約筋がストレス・自律神経の影響などで収縮すると毛細血管内の血流が低下することがあります。毛細血管の内皮細胞は微小循環を円滑に維持しています(下図)毛細血管の内皮は一層であることが重要で、栄養、酸素、老廃物の代謝はこの部分でのみおこなわれます。しかし、加齢、生活習慣、ストレスなどで血液粘度の上昇や酸化ストレスの増加などが原因になり、血管内皮細胞が阻害され、血管が収縮し炎症を起こし易く、血栓が形成され易い血管になり血流の低下が起ります。
 前項の7大疾患のほとんどは、この微小循環の領域で起る疾患といっても過言ではありません。

 今号より康復医学の基本となる微小循環の仕組みと、微小循環を正常に維持する対策等をお送りいたします。

いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

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