2013年5月25日土曜日

疲労とその対策⑥


運動に快適な季節の落とし穴?

 身体を動かすにはいい季節になってきました。
 メタボ解消や健康のために運動やウォーキングに汗を流す人は、多いと思います。しかし、頑張慢性疲労の状態に陥ってしまいます。スポーツ医学では、これを「オーバートレーニング症候群」と呼んでいます。
りすぎて疲労がとれないまま運動を重ねると、一種の
 このオーバートレーニング症候群が厄介なのは、単に疲労感に晒されるだけでなく、心身にさまざまな問題をもたらす点です。症状は広範囲に及び、日常生活に深刻な影響を及ぼすものもあります。体に生じる症状としては慢性的な疲労感のほか、風邪を引きやすくなったりアレルギー性疾患、睡眠障害、食欲の極端な亢進・低下を生じたりします。
 心に生じる症状では、うつ症状、無感動、自己嫌悪、集中力の低下、情緒不安定な人格の変化などが起こります。細かいことに過敏に反応したり、怒りっぽくなったりするなどの症状も見られます。

 更に注意が必要なのは、必ずしもスポーツを行っている人だけがなるとは限らない点です。たとえば日々の仕事の負担が辛く、それを必死に我慢した状態で長期間頑張っている場合、あるいは育児や家事の負担で同じような環境に晒されている場合にも、オーバートレーニング症候群に陥る可能性があります。ダイエット目的の無理なトレーニングなどは、効果が期待できないうえにオーバートレーニング症候群に陥る大きな原因になるのです。


特集:疲労とその対策⑥

"疲労物質・乳酸"説の真実

過去、乳酸は疲労物質と言われ、「いやぁ~、乳酸が溜まって疲れちゃったよ」など、乳酸は疲労の原因として悪者にされてきました。著名な医学系の博士の新刊にも、いまだに「疲労物質・乳酸は~」などと書かれていたのには驚きます。
 しかし乳酸は、実は疲労を引き起こす物質ではなく、むしろ疲労を緩和させるために現れる物質だということが分かっています。確かに激しい運動や重労働の後に体がへとへとになり、腕を上げたり歩いたりすることができなかったりしたとき、筋肉中には乳酸が溜まっているのは事実なのですが・・・・。

乳酸は、エネルギー産生時に作られる!

エネルギー産生には、瞬発的にエネルギーを必要とするときに産生する「解糖系」と持続的にエネルギーを産生する「TCA回路~電子伝達系」があることはご承知のことと思います。この二つのシステムは、糖を使うエネルギー産生に時間差が出てしまい、余った物が「乳酸」という形で残ります(左図)。

「乳酸」は一時的に作られる物で、燃えカスや老廃物ではありません。乳酸は必要に応じて「ミトコンドリア」で再利用されエネルギーになりますので、ミトコンドリアの多い筋肉繊維や心筋などで多く使われます。事実マラソンランナーは、完走時の体内に「乳酸」はほとんど残っていないのです。

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 最近の研究では、乳酸の蓄積と疲労は直接の関係がないという考え方が主流です。むしろ左図のようなATP(生体エネルギー)の産生システム自体が、ストレスや必須栄養素の欠乏で機能低下しエネルギーが減少した結果、疲労につながるというのが定説です。
 最新スポーツ医学では、乳酸を疲労物質として捉える考え方は使われなくなってきていますので、いまだに「疲労物質・乳酸」などと言っている医者や学者にはご注意を!


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

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