2013年8月9日金曜日

睡眠不足と肥満にかかわるメカニズム

睡眠不足と肥満の関係

 立秋を過ぎてからも猛暑の日が続いています。熱帯夜や長時間のエアコンなどで体調を崩し、睡眠の質が低下して睡眠不足を感じてはいませんか?

 睡眠に関しては、これまでにも様々な論文が発表されてきました。まず、睡眠不足になると、中性脂肪や血糖値が上がり結果的に肥満につながるというデータはよく知られています。また、睡眠時間とホルモンに関する研究もあります。これは、睡眠時間により満腹感を与えて食欲を抑制するホルモン「レプチン」の血中濃度が下がる一方、食欲を増進させるホルモン「グレリン」の血中濃度が上がるというものです。いずれも摂食行為を制御する重要な因子で、グレリンは1999年に日本人研究者が発見し、“腹ぺこホルモン”の異名もあり、不眠症の人の減量を困難にさせてしまいました。

 このように、先進諸国の研究者らは、肥満の急増と睡眠時間の減少との間に相関関係があることを以前より指摘してきました。
 そして今回、睡眠不足に関する新しい研究論文が、英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに発表されたのです。これは、睡眠不足が脳活動の変化を引き起こし、結果として強い空腹感を感じて「より太る食べ物」を食べたいと切実に思うようになる証拠を発見したというものです。
 米カリフォルニア大学の研究チームは、MRI(磁気共鳴画像装置)を使って、睡眠不足の被験者の脳活動における変化を特定しました。そして、睡眠不足の被験者の中で、大脳皮質の食欲と満腹感を評価する領域に脳活動の低下が見られることを発見したのです。またこれと同時に、渇望(強く望むこと)に関連する脳の領域に脳活動の上昇が見られました。
 さらに興味深い結果は、睡眠不足の被験者が高カロリー食品により強い食欲を感じた点だ」と指摘しています。適切な判断と決断をつかさどる領域で脳活動が低下し、同時に報酬に関連する領域で脳活動が増大するというこれらの調査結果は、互いにぴったりと適合しており、睡眠不足と体重増加と肥満との間の関連を説明できるかもしれない」とのこと。また、「常に十分な量の睡眠を取ることは、体重管理を促進する重要な要素の1つになるかもしれないことを今回の調査結果は示している」と結論付けています。


脳内報酬系とドーパミン

 睡眠不足と肥満に関わるメカニズムに、「報酬に関連する領域で脳活動が増大する」というものがあります。脳内報酬系で主要な役割を果たす神経伝達物質がドーパミンです。ドーパミンは、人間の脳機能を活発化させ、快感や意欲的な活動を作り出す、極めて重要な神経伝達物質です。

ドーパミン過剰が依存症の原因

 神経終末内のドーパミンは、左図のように信号Aを受けると①、②のように次々とシナプス間隙に放出され、次の神経終末上にあるドーパミン受容体に鍵と鍵穴の関係で結合します(③)。これによって、新たな信号Bが生まれ、情報が伝達されて行きます(④)。その後、受容体に結合していたドーパミンは、受容体から遊離し、ドーパミントランスポーター(再取込口)から再吸収され、元の神経終末に戻ります(⑤)。ところが、依存性のある物質がドーパミントランスポーターから神経終末内に入ることによって、⑥のようにドーパミンを逆流的にシナプス間隙に放出します。そのため、シナプス間隙にはドーパミンが過剰になり、対側のドーパミン受容体に結合したドーパミン(③)も増え、信号Bは増強されることになります。その結果、脳は強制的に興奮させられます。
 このような、脳内報酬系での生物学的変化が依存症の原因であり、また結果でもあると考えられています。

================================

 神経伝達物質は、睡眠障害によってバランスを崩します。そして、ドーパミンやその他の神経伝達物質のバランスを整え睡眠障害改善に期待できるのがセロトニンです。
 康復医学学会の主要研究テーマ「ラフマ」は、そのセロトニンに関するエビデンスを持っています。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

0 件のコメント:

コメントを投稿