2013年12月21日土曜日

低体温症

屋内の方が発症率が高い?

 「低体温症」と聞くと、冬山などで寒風や雪、冷雨などにさらされて起きるものと勝手に思い込んでいる人が多のですが、実際はまったく違います。

 「実は、都会など普段の生活の中で生じる身近な危険として見過ごせないのが低体温症なのです。事実、救急車で病院へ運ばれてくる低体温症の患者さんのうち、自宅など屋内で低体温症を起こした患者さんが、屋外での発症者の3倍以上に上ります」。こう警鐘を鳴らすのは低体温症の全国調査を初めてまとめた日本救急医学会・熱中症に関する委員会の三宅康史委員長(昭和大学医学部・救急医学)です。

 「人体の中心部の温度(中心温)は通常36.5~37.1度に保たれていますが、それが36度を切ると低体温症と診断されます」。当初は皮膚表面の血管の収縮から鳥肌が立ち、熱を得るための筋肉の収縮から体がカタカタと激しく震え始めます。口ごもって言葉が思うように出なくなり、歩行もままならなくなります。
 「そのうち体熱の喪失が発熱を上回るようになると、中心温は33度以下(中等症)へ低下。やがて体の震えは止まり、意識障害からもうろうとなったり、支離滅裂なことを言い姶めたり、呼びかけに反応しなくなったりします」。
 さらに30度以下(重症)に低下すると昏睡状態に陥り脈拍は微弱となります。そして、心停止に至るというのが低体温症です。

 屋内の場合では、「たとえば、同居家族が不在中の昼間、トイレに行く途中で階段を踏み外し、倒れたまま動けなくなり、助けを呼べずに低体温症に陥ったお年寄りのケースもあります」。家の中でも暖房か効いていない寒いスペースはいくらでもあります。認知症のため適切に判断できない高齢者を抱える家庭では、特に注意しなければなりません。

 「また、脳卒中や狭心症・心筋梗塞、低栄養などの病気を患っている場合、低体温症の発症をきっかけに病状を悪化させ、後遺症を残したり、死に至ったりするケースも少なくありません」。
 中でも糖尿病の患者は要注意です。「いわば、糖は体の中でエネルギーをつくり出すガソリンです。このガソリンを燃焼させるため、血液中から糖を細胞の中へうまく取り込む必要があるのですが、糖尿病はそれがスムーズにできなくなるので、低体温症に陥りやすいと言えます」「自分一人で身の回りのことができなかったり、独り暮らしだったりするお年寄りが低体温症になりやすいといえます」(すべて三宅委員長)。

 しかし、家族と同居していても、お互いのコミュニケーシヨンがとれていないケースも少なくありません。体が冷えたまま、当初の体の震えがなくなったら危険な兆候です。ただちに救急車を呼んでください。

■日常でも多い低体温の弊害

 「低体温症」は前項でもお伝えした通り、重症になると命に関わります。しかし、軽度な低体温でも様々な不調に悩む人が多いのが現状です。
 低体温は体質だけが原因ではなく、薄着でいることによる必要以上の熱の放出や、偏食(ダイエット等)などによる栄養不足、不規則な生活習慣・運動不足、等々も原因と考えられています。
 また、ストレスにも要注意です。ストレスによって交感神経と副交感神経のバランスが崩れると中心温が36℃を下回り、低体温特有の疾患や免疫力の低下などが表れることがわかっています。

低体温になる生活習慣

ストレスによる血行不良・自律神経の乱れ

過度のストレスがかかると血行不良が起こることがあり、これも低体温の原因としてあげられます。
 また、ストレスはホルモンバランスを崩し、自律神経を乱してしまうため、体温をコントロールすることができなくなり、低体温になってしまうことがあります。

エネルギー産生の不足

エネルギーを作り出す機能が低下してエネルギー不足に陥ると、基礎代謝が低下するため冷え性や低体温の原因になります。

たんぱく質不足

ダイエットや高齢者の摂食障害によりたんぱく質が不足すると、血液を送る筋力も低下するので、やはり低体温の原因となります。細胞の中にある“ミトコンドリア”という小器官が熱を発生させているのですが、筋肉量が減ると、ミトコンドリアの数も少なくなるため、それに伴って体温が下降してしまうのです。
 体を作っているのはたんぱく質です。植物性だけでなく動物性たんぱく質もしっかり摂る必要があります。



いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

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