2014年4月6日日曜日

女性の疾患リスクとエストロゲン

疾患のリスクには男女差がある!

 「性差医療」という言葉があります。1980年代に登場した概念で、生殖器の疾患以外で男女の“性差”に配慮した医療を指します。
 たとえば心筋梗塞は、発症数が増えるのは男性なら30代以降ですが、女性は閉経後の60代以降です。男女の発症率が等しくなるのは70歳を過ぎてからです。
 また、心疾患のリスクとなる高血圧症や脂質異常症、糖尿病の発症にも男女差があります。
 従来の治療戦略は、全て「男性モデル」に基づいてきましたが、80年代に「それで大丈夫なのか?」という疑問が出てきました。

 今年2014年、米国の心臓学会と脳卒中学会から初めて「女性のための脳卒中予防ガイドライン」が発表されました。このガイドラインでは、女性特有のリスクとして第一に「妊娠」を挙げています。妊娠中に高血圧症候群を起こし、腎障害(妊娠高血圧腎症)を経験した女性は、中年期以降の脳卒中リスクが2倍、高血圧症リスクが4倍に上昇することが分かったのです。既往症がある女性は、喫煙や脂質異常症など、その他のリスクを速やかに改善するよう推奨されました。このほか、低用量ピルの内服に喫煙と高血圧が重なった場合や、片頭痛持ちで喫煙者の女性は、脳卒中リスクが高くなることが報告されています。

 一方、日本国内で女性に着目した研究を探すと、飲酒と脳卒中の関連を調べた国立がん研究センターの研究成果が、昨年(2013年)秋に発表されています。健康な40~69歳の女性を対象に17年間にわたって追跡調査したもので、「週に日本酒で2合(アルコール換算300g)以上を飲む」女性は、「時々(月に1、2回ほど)飲む」女性に比べ、脳出血の発症が2.85倍、脳梗塞の発症が2.03倍に増加するという結果が出ています。男性を対象とした研究(同国立がん研究センター)では、「1日2合程度」の飲酒では、「時々」に比べ、脳出血が2.09倍、脳梗塞は変わらず、という結果。「1日3合以上」では、脳出血の発症は2.51倍に上昇しますが、脳梗塞は1.12倍でした。
 男女の疾患リスクの差は、これほど大きいのです。

■性差が顕著な疾患

【骨粗しょう症】

骨粗しょう症はもっとも性差がはっきりしている疾患で、男性よりも女性の方が3倍多い病気だということがわかっています。骨粗しょう症は、骨がもろくなる病気ですが、そもそも骨は、「形成されること」と「吸収されること」のバランスで成り立っています。
 女性ホルモンのエストロゲンは骨を形成する方向に働いていますが、加齢とともにエストロゲンが欠乏するため、骨はもろくなり、骨粗しょう症になりやすくなるのです。月経不順や無月経を放置したり、過度なダイエットをしたりするとエストロゲンの分泌異常が起ります。

【うつ病】

うつ病は、世界中どこでも女性患者は男性の2倍あるといわれています。うつ病の生涯有病率は、男性で5~12%、女性で10~25%です。完全に解明されてはいないものの、エストロゲンなどのホルモンの減少からセロトニン分泌が低下すること、育児・家事など社会的役割分担による過度のストレスなどの関与が疑われています。

加齢とともに減少するエストロゲンと病気の関係

エストロゲンは女性らしさを作り出す働きだけでなく、右図表のように体調や病気に関与します。そして、血管や脳、自律神経の働きを促進させる役目もあります。エストロゲンの減少はセロトニン分泌の低下にもつながります。

 女性の場合、セロトニントランスポーターという神経終末から放出された脳内セロトニンを再び神経終末内に取り込む「再取り込み口」が特徴的で、これが原因で男性よりも抑うつ傾向や不安傾向が高くなることが判明しています。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 五月雨ジョージ

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