2015年6月26日金曜日

トランス脂肪酸の危険性

3年以内にトランス脂肪酸を全廃へ、FDA

米食品医薬品局(FDA)は6月16日、トランス脂肪酸を生成する「水素添加油脂(partially hydrogenated oils;PHOs)」の加工食品への使用を3年以内に全廃すると発表しました。
 FDAでは2013年にPHOsの安全性を否定する暫定的な決定を発表していましたが、研究に基づき今回の最終的な決定の発表に至りました。
 トランス脂肪酸は心血管疾患リスクを上昇させる可能性が知られていますが、関連学会からも今回の決定を歓迎するコメントが寄せられています。

 PHOsは常温で液体の油脂に水素を添加して製造された半固体あるいは固体の油脂。その過程でトランス脂肪酸が生成されます。水素添加によって製造されるマーガリンやショートニング、またそれらを使用したパンやケーキなどにトランス脂肪酸が含まれています。
 米国ではPHOsは「一般的に安全(generally recognized as safe;GRAS)」な食品に分類されていましたが、2013年にFDAが「PHOsはGRASに該当しない」との暫定的な決定を発表。その後追加で実施されたPHOsによる健康への影響に関する研究のレビューやパブリックコメントなどを踏まえ、今回の最終的な決定に至りました。

 食品メーカーにはPHOsを使用しない製造法にシフトするための対応期間として3年間が与えられます。それ以降はFDAに申請し、認可された場合を除いて食品へのPHOsの添加は原則 禁止となります。

 米国では2006年以降、食品にトランス脂肪酸が含まれる場合にはラベルに表示することが義務づけられており、2003年から2012年にかけてトランス脂肪酸の消費量は78%減少しました。しかし、米国医学研究所(IOM)はトランス脂肪酸の摂取量を可能な限り減らすよう推奨しており、さらなる消費量の削減が課題となっていました。

 今回のFDAの決定を受け、米国心臓協会(AHA)CEOのNancy Brown氏は同日、「米国民の健康における歴史的勝利」とする称賛のコメントを公表。「食品業界からトランス脂肪酸が消えれば、(米国で)回避できる心筋梗塞は年間1~2万件、冠動脈疾患による死亡は3,000~7,000件との米疾病対策センター(CDC)による試算もある」と紹介しています。

 日本でも賢い消費者は原材料の表示にマーガリンやショートニングなどがないことを確認して食品を買う人が増えてはいますが、国や業界を含め、全般的にまだまだトランス脂肪酸の危険性に対する意識が低いようです。

■トランス脂肪酸の危険性

日本では、バターより健康的と一般的には考えられているマーガリンですが、別名「プラスチック食品」と呼ばれています。これは、フレッド・ロー(米国・自然は運動家)の「マーガリン大実験」という有名なエピソードによるものです。1965年から73年まで自然食品店を経営していた彼がマーガリンを放置する実験を行ったところ、プラスチック同様に虫などをまったく寄せ付けなかったことから、マーガリンは「プラスチック食品」という結論に達したのです。

飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸

油脂にはラード(豚脂)、ヘット(牛脂)やバターなどの動物性の脂と、ナタネ油、大豆油などの植物油があります。

 動物性の脂は融ける温度(融点)が高く、常温では硬化して固体になります。これは、飽和脂肪酸を多く含み、分子の結合が強く安定しているからです。この飽和脂肪酸を過剰に摂取すると、肝臓で悪玉(LDL)コレストロールの生成を促進して、血中コレストロール値が上がり、心筋梗塞・脳卒中を引き起こす動脈硬化胆石の原因になります。
 また、常温で硬化するため、体内でも凝固しやすく、血液の粘度を高めていわゆる「ドロドロ」の状態にします。

 植物性の油と、イワシ・サバなどの青身魚の油は融点が低く、常温でも液体です。これは、動物性の脂とは逆に「不飽和脂肪酸」を多く含んで、分子の結合が弱く、安定性が低いからです。この不飽和脂肪酸は、血中コレステロール値を下げる作用があります。
 また、常温で液体なので、体内で血液をいわゆる「サラサラ」の状態に保ちます。

植物油を化学処理して誕生

当然、多くの人が動物性油脂より植物性油脂を求めます。ところが、パンや菓子などの加工食品には、常温で固体の油脂が欠かせないのです。
 そこで登場したのが、マーガリンやショートニングなどの、植物性油脂を化学処理し常温で固体を保てるようにした(硬化油)製品です。
 この化学処理が「水素添加」と呼ばれる方法で、不飽和脂肪酸の水素が足りない場所に強引に水素を結びつけています。こうして出来たものがトランス型脂肪酸で、これは安定した構造を持っているので、常温でも固体で、酸化しにくく、保存性が高いのです。この構造がプラスチックそっくりというわけです。

 水素添加して人工的に作られたトランス脂肪酸は体内で代謝されにくい構造で、悪玉(LDL)コレステロールを増加させ、善玉(HDL)コレステロールを減少させる働きがあることも明らかになってきています。これは、心臓病などの疾患を引き起こす要因になります。

 また、脂肪酸は細胞膜を構成する物質ですが、トランス脂肪酸で形成されるとその細胞膜は弱く、免疫機能が低下することも指摘されています。

 多くのファストフード店や惣菜のお店で水素添加された油脂は、ショートニングの表示で利用されています。
 フライヤーの中に入ってしまえば、液体化するので、まさか固体の油脂が使われているなんて、と驚かれるかもしれません。酸化しにくい、保存性がいいということで、ポテトチップスやスナック菓子、菓子パン、カレールー、レトルト食品、コーヒー用ミルクやアイスクリームなどと、本当に多くのものに使われています。

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【トランス脂肪酸対策】

日本でも、トランス脂肪酸の心配のない水素無添加のマーガリンやショートニング製品を作っている企業が出てきています。しかし、トランス脂肪酸に対する消費者の関心が集まらなければ、普及は難しいでしょう。
 問題の一つは、表示がされていないことです。日本で売られている加工食品には、"植物油脂"という曖昧な表示しかされていません。

 トランス脂肪酸に有害性があることは事実です。危険性が明らかな食品を避けるために、国や企業側は、表示の問題も含め、消費者への情報公開が必要不可欠なのはもちろんです。
 しかし、まずは私たち消費者がトランス脂肪酸の有害性を知ること。食事や買い物に注意を怠らず、ファストフード消費やジャンクフードなどを購入しないことが大事なのです。



いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 村雨カレン

2015年6月24日水曜日

関節リウマチ(RA)

関節リウマチ発症年齢のピークが高齢化!?

関節リウマチ(RA)を発症しやすい年齢は、一般に30~50歳と捉えられています。しかし近年、RA診療現場において、高齢の発症患者が増えたとの声を聞く機会が多くなっているそうです。
 そこで、東京医科大学病院リウマチ膠原病内科の研究者らは、国立病院機構相模原病院(リウマチ性疾患研究部)を中心に構築されている日本の大規模RA患者診療データベースNinJaの03~13年度の登録症例において、RA発症が高齢化しているか否かを検討。RA発症のピークが60歳代にシフトしていることを、日本リウマチ学会総会・学術集会で報告しました。

 対象は03年度、08年度、13年度に早期RA(発症2年以内)としてNinJaに登録された患者(02~03年度発症患者536例、07~08年発症患者812例、12~13年発症患者1865例)。各年度における日本の年齢別人口を総務省のデータベースから算出して比較検討を行いました。
 その結果、RA患者の発症年齢の平均値は03年度55.7歳、08年度57.0歳、13年度59.9歳と有意に上昇していました。また、03年におけるRA発症のピークは50歳代でしたが、13年度では60歳代にシフトしていました(下図)。03年度の発症年齢の分布において、50歳代での発症は30歳代や40歳代での発症の2倍以上でした。
総務省の人口動態データベースから03年の50歳代の人口には第一次ベビーブーム世代が含まれており、50歳未満の世代に比べて世代人口数は多いものの、50歳代におけるRA発症頻度はその人口比とは不釣り合いに高頻度でした。
 また、03~13年の間に日本の人口構成は高齢化していますが、80歳以上のRA発症率は人口増加率に比べて顕著に増加していました。
 なお、高齢発症RAは男性が多いとの報告がありますが、今回の研究者らの検討では、高齢発症RAにおける女性の比率は75%と高く、この10年間で有意な変化は見られなかったということです。

■関節リウマチ(RA)とその対策

研究者らは、RA発症年齢が有意に上昇している詳しい要因は不明としながらも、RA発症の環境要因として喫煙歯周病との関連性を挙げています。

 団塊世代の男性喫煙率が高いことや、団塊世代では「8020運動(80歳になっても20本以上の歯を保とう)」の達成は難しいとされており、歯科衛生状態が以降の世代よりも不十分な可能性があることなどが、RA発症リスクに関与している可能性があると考察しています。
 また、この10年の保険制度の変遷や健康意識の高揚、RA啓発活動などにより、RA患者の受療行動パターンの変化の影響も考えられるとしています。

関節リウマチは免疫系の病気

RAは、免疫の異常により、主に手足の関節が腫れたり痛んだりする病気です。進行すると、骨や軟骨が壊れて関節が動かせなくなり、日常生活が大きく制限されます。また、炎症は関節だけでなく、目や肺などの全身に拡がることもあります。
 RAのかかり始めには、熱っぽい、からだがだるい、食欲がないなどの症状が続いたり、朝方に関節の周囲がこわばったりすることがあります。その後、小さな関節が腫れ、やがて手首やひじ、肩、足首やひざ、股関節など全身の関節に拡がっていきます。RAは女性の患者が多く、男性の3~4倍発症します。

治療は、薬物療法、手術療法、リハビリテーション

以前のRA治療は、薬で痛みを抑えたり、悪くなった関節部位を手術で取り除くくらいしか手立てがありませんでした。
 しかし現在では、炎症や痛みを抑え病気の進行を食い止めて関節の破壊を防ぐための薬物療法を中心に、必要に応じて手術やリハビリテーションなどを組み合わせて行うのが一般的です。
 その他、血液中の活性化した白血球を体外に取り出し、浄化された血液を戻して炎症を鎮める「白血球除去療法」がありますが、高価であり、病気の改善にかかわるデータもまだ十分にそろっていません。

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●霊芝と関節リウマチ

霊芝配合商品『HM真菌』
(和漢生薬研究所)
RAは、免疫異常が関係する病気です。霊芝の免疫系疾患に対する改善作用は数多くの研究で示されています。「HM-3000(特系霊芝)」を研究する当学会も、RAを含む自己免疫疾患の著しい病態変化(正常化)を確認しています。

 また、免疫系全体を抑えるステロイド系の薬、免疫抑制剤、その他消炎鎮痛剤などが一般的な病院での処方薬ですが、どれも非常に強力で、一時的に楽になっても強い副作用が出て、身体はぼろぼろになってしまいます。霊芝との併用で、この副作用の大幅軽減も期待できますので、薬の有効性を高めることにもつながります。

※霊芝の免疫系に対する影響に関しての詳細は、『HM真菌エビデンス』(発行:微小循環研究所/税抜1,000円)をご覧ください。


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光・愛・感謝 村雨カレン

2015年6月19日金曜日

加糖飲料の健康被害

加糖飲料を水や茶に変更で、糖尿病リスクが激減!

英ケンブリッジ大学のNita G. Forouhi氏らは、英国における大規模住民研究の結果、1日の総摂取エネルギー量に占める加糖飲料からのエネルギー摂取が5%上昇するごとに2型糖尿病発症リスクが18%上昇すること、1日1杯の加糖飲料を水や無糖の茶・コーヒーに変更することで糖尿病発症リスクが14~25%低下することが示唆されたと欧州糖尿病学会(EASD)発行誌Diabetologia(2015年4月30日オンライン版)で報告しました。

 今回の研究では、大規模住民調査において飲食物を摂取するごとに日誌に記録させ、さらに甘味飲料について、加糖清涼飲料水、加糖した茶やコーヒー、加糖乳飲料、人工甘味飲料、フルーツジュースに分類し、甘味飲料の種類により糖尿病への影響に差があるのかどうかも検討しました。

 Forouhi氏は「これにより、数種の異なる甘味飲料同士の比較が可能となり、加糖飲料を水や無糖の茶・コーヒー、人工甘味飲料に変更した場合の影響の検証が可能であった」と述べています。
 参加者のほぼ全例が毎日1杯以上の加糖飲料を摂取しており、10年8ヵ月の追跡期間中に847人が新規に2型糖尿病と診断されました。分析の結果、1日の清涼飲料水、加糖乳飲料、人工甘味飲料の摂取量が1杯増えるごとに、2型糖尿病発症リスクは約22%上昇しました。
 今回の研究では、1日に清涼飲料水1杯を水や無糖の茶・コーヒーに変更することで、2型糖尿病リスクが約14%低下する可能性が示されました。また、加糖乳飲料1杯を水や無糖の茶・コーヒーに変更した場合の糖尿病リスク低下は20~25%でした。一方、加糖飲料を人工甘味飲料に変更しても糖尿病リスクに統計学的に有意な低下は認められませんでした

 Forouhi氏らは、加糖飲料からのカロリー摂取を1日の総カロリー摂取量の10%、5%、2%に減らすことで、2型糖尿病の新規発症をそれぞれ3%,7%,15%減少できると推定しています。
 「1日1杯の加糖清涼飲料水や加糖乳飲料を水や無糖の茶・コーヒーに変更することが糖尿病リスク低減に有用となる可能性が示されたことは朗報である。また、加糖飲料からのカロリー摂取率を減らすことで糖尿病の負荷を低減できるかもしれないという知見は、遊離糖類の摂取制限に関する世界保健機関(WHO)の推奨を支持するものである」(Forouhi氏談)
(MT-Pro 2015年5月1日)

■加糖飲料による健康被害を警告

女子が頻繁に飲むと初潮が早まる!

米国ハーバード大学公衆衛生大学院を含む研究グループは、女子が9~14歳で加糖飲料(果糖ドリンク、加糖ソーダ)を頻繁に飲むと初潮が早くなると、生殖分野専門誌「ヒューマン・リプロダクション」のオンライン版で今年1月に報告しました。加糖飲料を飲むと代謝の変化に影響し老化を促進するため、初潮の時期を早めるとのこと。

男性の心臓病リスクが上昇する!

同じく米ハーバード大学公衆衛生大学院による医療従事者を対象とした大規模研究では、男性4万2,883人(40~75歳)を対象に、加糖飲料および人工甘味料入り飲料の摂取量が、冠動脈疾患に及ぼす影響を検討。
 その結果、清涼飲料などで単純糖質(砂糖、果糖、ブドウ糖、麦芽糖、果糖ブドウ糖液糖)を多く摂っていたグループでは、全く飲まないグループに比べ、心臓病の危険性が20%上昇していました。喫煙、運動習慣、飲酒習慣、心臓病の家族歴などの危険因子の影響を取り除き解析しても、糖質を多くとる人で心臓病が増える傾向があることがわかりました。

女性は子宮体がんになるリスクも高まる!

米ミネソタ大学公衆衛生学部の研究者らは、加糖飲料を多く飲んでいる女性で子宮体がんになる割合が、飲まない人の1.8倍高まると、米医学誌「Cancer Epidemiology, Biomarkers Prevention」に発表。
 加糖飲料は肥満や糖尿病を招くとされ、加糖飲料に関連して年間約20万人が死亡しているといいます。このため、加糖飲料に課税する「ソーダ税」を導入しているフランスをはじめ、各国で加糖飲料を規制する動きが出ています。

タバコのような「健康警告ラベル」の動きも!

米カリフォルニア州は現在、「甘い飲み物には健康に関する警告ラベルを貼り、自動販売機にもそうしたラベルを貼る。検査で違反となった場合、50米ドルから500米ドルの罰金を支払う」という新たな健康法案を検討しています。
 また英国でも最近BBCが行った調査によると、成人の60%がタバコのように食品包装に健康に関する警告を表示することを支持しています。さらに70%が、英国の学校で甘い飲み物を禁止、もしくは特定の食品に含まれる砂糖の量を制限することを支持しているそうです。

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 糖質が与える身体へのダメージは、老化の元凶でもあります。この機会に「酸化」よりも怖い「糖化」について勉強しましょう。
 康復医学学会の小冊子『最悪の老化物質AGE』(右図)のご一読をおすすめします。
★小冊子の詳細は<こちら> へ。


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光・愛・感謝 村雨カレン

2015年6月17日水曜日

体型と認知症リスク

中高年期に痩せている人は認知症になりやすい!?

英・ロンドン大学のスチュアート・ポコック教授らは,中高年のBMI(肥満度)と認知症リスクとの関連を検討する過去最大規模の研究の結果、中高年期に痩せている人(BMI 20未満)はBMIが正常範囲の人と比べて認知症発症リスクが30%以上高く、逆に中高年期に肥満の人(BMI 30超)は認知症発症リスクが30%以上低いことが示されたと、医学誌「Lancet Diabetes Endocrinol(2015年4月10日オンライン版)」で報告しました。
 今回の知見は、中年期の肥満は高齢期の認知症リスクを高めるとした過去の研究と相反するものとなりました。

 認知症患者の数は世界的に急増しており、2010年には3,000万人でしたが、2050年には1億600万人になると予想されています。同様に肥満者の数も世界的に増えており、BMIと認知症の関連の解明は公衆衛生上の優先課題となっています。
 今回の研究では、英国の臨床診療研究データリンク(CPRD)から40歳以上でBMI測定記録のある者のデータを後ろ向きに抽出し、その後の認知症発症について調べた。CPRDは、英国の一般医の患者500万例以上を含む診療データベースで、20年以上のデータを集積しており、英国人口の約9%を反映しています。解析対象となったのは195万8,191人で、年齢とBMIはそれぞれ中央値で55歳(IQR 45~66)と26.4(同23.5~30.0)。中央値で9.1年(同6.3~12.6)の追跡期間中に4万5,507人(1,000人年当たり2.4例)が認知症を発症しました。
 中高年期に痩せている人は健康な体重の人と比べ認知症と診断される率が34%(95%CI 29~38)高かったということです。こうしたリスク上昇は、BMI測定から15年以上経過後も維持されました。

 中高年期のBMIの上昇に伴い、認知症リスクは低下し、極度に肥満の人(BMI 40超)では、BMIが正常範囲の人と比べ認知症の発症率が29%(95%CI 22~36)低いという結果でした。認知症リスクは、BMIの正常上限である25までは、BMI上昇に伴い着実に低下し、25を超えてから低下率は緩慢になったもののBMI 35以上となるまで低下を続けています(右図)。

■肥満と認知症リスクとの関係

これまでの研究では、30歳代で肥満と診断された人は、年齢が上がるにつれて認知症の発症リスクが上昇するという分析結果が大半でした。ところが今回お伝えした研究では全く正反対の結果を報告しています。

複雑な背景、原因解明のさらなる研究必要

今回、BMIと認知症リスクを解析したポコック教授は、
「BMI高値が認知症リスク低下と関連する理由は明らかではなく、原因解明のためのさらなる研究が必要である。中高年期の体重増加が認知症に対して保護的に働くとしても、こうした逆相関の理由は現在のところ明らかではない。食事と運動、脆弱性、遺伝的因子、体重変化に関連するさまざまな問題が関与している可能性がある」
と述べています。
 また、米国SUNY Downstate Medical Centerのデボラ・ガスタフソン教授は同誌の論評で、
「BMIと認知症に関してこれまでに発表された文献は一貫しておらず、中年期のBMI高値と認知症の正相関を示したものもあればそうでないものもある。高齢者疾患の疫学研究では、様々な因子を考慮する必要があるが、BMIと高齢者の認知症との関連についても同様である。今回の知見は、認知症の危険因子と保護因子を同定することの複雑さを気付かせてくれたはずである」
と述べています。

身体に良いことは脳にとっても良い!

もし今回の研究が正しいとしても、認知症にならないために肥満になるという人はいないと思います。しかし、若いうちから生活習慣を見直すことは必要です。認知症の予防には“まだ早すぎる”ということはありません。認知症の発症と生活習慣には密接な関連があります
 高血圧、糖尿病、心疾患など脳血管障害の危険因子があると若い世代でも「脳血管性認知症」は発症しやすく、これらの危険因子は肥満が関係してきます。

【対策】脳の健康を維持する生活スタイルを!

● タバコを吸わない(煙に近づかない)
● 血液を全身に流すことを意識する(血流・血管・血圧)
● 運動を習慣的に行う
● バランスの良い食事(過食・偏食をしない)
 これらを意識した生活スタイルが、脳の健康を維持するのに効果的です。

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 医学会において正反対の研究結果はよくあることです。その中で確信を持って言えるポイントは、「身体に良くないものは、脳にも良くない」ということ。痩せ過ぎ、太り過ぎは栄養素の摂取量とエネルギー産生・代謝のアンバランスが原因です。

 「HM-3000(特系霊芝)」は必要な栄養素を各臓器や器官に供給する微小循環血流を総合的に改善し、エネルギー産生に必要な酸素の供給に影響を与えます。また、それが脳血管性認知症やアルツハイマー病の発症も抑えると考えられています。
 さらに、リラックスハーブといわれる「ラフマ」にはセロトニン産生の促進作用が認められています。うつ症状の抑制に影響し、仮性認知症対策として有効になります。


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光・愛・感謝 村雨カレン

2015年6月12日金曜日

緑茶とコーヒーの健康成分

心臓病の死亡リスク、緑茶・コーヒーで1~4割減

 日本人の成人約9万人の平均19年間の追跡調査で、緑茶やコーヒーを毎日よく飲む人は、ほとんど飲まない人に比べて心臓や脳血管の病気で死亡する危険性が1~4割程度低かったとの研究結果を、国立がん研究センターと東京大のチームが5月7日に発表しています。
 含有する成分の血圧調整などの効果が影響している可能性があるということです。

 対象は10都府県に住む40~69歳の男女計約9万人。1990年以降の調査期間中に1万2874人が死亡し、死因と生活習慣との関連を調べました。

 その結果、緑茶を「1日5杯以上飲む」と答えた男性が期間中に亡くなる危険性は、1日1杯未満の男性より13%下がっています。
 死因別では、▽心疾患で13% ▽脳血管疾患で24% ▽呼吸器疾患で45%、低くなりました。女性も心疾患で37%、脳血管疾患と呼吸器疾患で各13%下がり、全体の死亡リスクは17%低くなっています。

 コーヒーを「1日3~4杯飲む」と答えた人の死亡の危険性も、ほとんど飲まない人より24%低くなりました。死因別では、▽心疾患で36% ▽脳血管疾患で43% ▽呼吸器疾患で40%、低かったとのこと。

 研究チームの東京大・井上真奈美特任教授(がん疫学)によると、緑茶に含まれる「カテキン」やコーヒーに含まれる「クロロゲン酸」には血圧調整の効果、「カフェイン」には血管保護や気管支拡張などの効果があるということです。

 ほかにも、コーヒーを飲むと肝がん、膵がん、女性の大腸がんと子宮体がんのリスクが低下するとの研究報告があります。

 ただ、井上教授は、「緑茶やコーヒーをよく飲めば万全というわけではなく、喫煙や飲酒、ストレスなどの生活習慣の改善も重要だ」と指摘しています。

■緑茶とコーヒーの健康成分

 日本では昔から「緑茶は健康に良い」と言われており、実際に多くの研究データがあります。しかし、コーヒーはこれまで健康面では悪者のイメージが強い嗜好品でした。

緑茶の「カテキン」

カテキン(catechin)には実に多様な生理活性作用があり、ガン細胞のアポトーシス(自殺)への誘導(抗がん作用)もその一つです。
 ほかに、血圧上昇抑制作用、血中コレステロール調節作用、血糖値調節作用、抗酸化作用、老化抑制作用、抗突然変異、抗菌、抗う蝕、抗アレルギー作用などが確認されています。
 さらに、緑茶粉末を摂ると腎臓の炎症が軽減されるという研究結果もあります。

コーヒーの「クロロゲン酸」「ピリジニウム」

コーヒーに含まれるクロロゲン酸(chlorogenic acid)は“コーヒーポリフェノール”とも呼ばれます。ポリフェノールですので当然抗酸化作用はありますが、クロロゲン酸の最も代表的な効果は「糖質吸収阻害効果」です。糖質分解酵素の働きを阻害し、最終的に血中に流れることとなるグルコース(ブドウ糖)への分解を抑制します。
 クロロゲン酸はまた、ミトコンドリアに働き脂肪の取込みを促すため、脂質が効率よく燃焼し体脂肪を低減させます。抗がん作用、心血管保護作用、肝臓保護作用なども報告されています。

 コーヒーには、ほかに抗血栓作用がある「ピリジニウム」も含まれています。

「カフェイン」の効果

カフェイン(caffeine)の主な作用としては覚醒作用・利尿作用などが有名ですが、そのほかに、偏頭痛緩和の作用(脳血管収縮作用)脂肪分解を促進させる酵素(リパーゼ)を活性化させる効果もあります。

 "副作用"にも気をつけましょう

【報告されている主な副作用】 

●緑茶カテキン⇒肝臓障害(カナダ・スペイン・フランス)
●クロロゲン酸の大量摂取⇒便秘を誘発
●カフェイン⇒交感神経興奮様作用、免疫力の低下、睡眠障害、胃粘膜炎症 ‥‥など。

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 どんなに健康に良いといわれるものでも、過剰摂取には注意が必要です。特にコーヒーは、1日何杯も飲んで健康に良い人と病気に近づく人の2通りがあるという報告もあります。自分がどちらなのか気になる方は1~2万円のDNA鑑定でわかるそうですから、受けてみてください。

 近年、「霊芝コーヒー」なるものが商品化されて話題になっています。しかしそのほとんどが粉砕霊芝を加えているもので、お湯で出るのは繊維素がほとんどです。コーヒー効果と霊芝の薬効成分で“健康飲料”を謳っていますが、霊芝の有効成分エキスの抽出はそれほど簡単ではありません。康復医学学会が研究している「HM-3000(特系霊芝)」は独自の方法でエキス抽出していますが、それでも有効成分は霊芝100gから5g(5%)以下しか抽出できないのです。
 残念ながら霊芝コーヒーは霊芝の効果を期待するよりも嗜好品として楽しむのがいいようです。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 村雨カレン

2015年6月10日水曜日

感染症レプトスピローシス症

古くて新しい人獣感染症が東北で再発生!

東北大学は5月25日、同大学災害科学国際研究所災害医学研究部門・災害感染症学分野の研究グループが、宮城県で1970年代以前によく見られ、一旦は収まっていた感染症「レプトスピローシス」(ワイル病)が、近年、東北地方で再発生していたことを発見しました。

 レプトスピローシスは、日本にも古くから存在する人獣共通感染症です。重症型はワイル病として知られ、急性腎不全、肝不全、脳症などを起こし、死に至ることもあります。

 感染原は感染したラットなどの動物由来の尿で、それがヒトに経皮的に感染すると考えられています。世界では年間30~50万人の患者が存在し、温暖化による洪水などで増加。世界保健機関(WHO)によれば、レプトスピローシスは代表的な災害感染症で、2009年にはマニラの洪水の後に大流行が起こっています。

 レプトスピローシスは、宮城県でも1970年以前にはよく見られた疾患でした。1959年には大流行があり、宮城県だけで800名以上の患者が発生しました。しかしその後、農業の機械化や衛生面の改善により、患者数は急激に減少しました。
 近年における東北地方でのレプロスピローシスの発生は、2008年に秋田県で1例の報告があるだけでしたが、2012~2014年の間には、4例の感染者報告があったそうです。

 今回の東北地方における発病と災害とは、直接の因果関係はありません。ただ、今回、ネズミに噛まれたことから発症した例があったとのこと。災害時、被災者は自然界に近い生活を強いられ、洪水、動物などの接触が増えます。東北地方に住む人々は、災害時、このような疾患が起こりうるとの知識を持っておくことが大切です。

 また、医療関係者も、発熱疾患を診た際は、この疾患の可能性を考えることが大事だとしています。今回の発見から、将来東北地方でレプトスピローシスが再燃、再流行する可能性も懸念されています。

 今後、津波を含む災害が発生した際、急性腎障害・熱性疾患が見られた場合は、レプトスピローシスの可能性も考慮して病原体を注意深く検査する必要があると研究グループは述べています。

【参考】東北大学 災害科学国際研究所 災害医学研究部門ホームページ
http://www.irides-drid.med.tohoku.ac.jp/index.html 

■感染症レプトスピローシス症(ワイル病)

レプトスピローシス症(別名:レプトスピラ症)は、病原性レプトスピラ(右写真:国立感染症研究所HPより)の感染に起因する人獣共通の細菌(スピロヘータ)感染症です。
 病原性レプトスピラは保菌動物(ドブネズミなど)の腎臓に保菌され、尿中に排出されます。ヒトは、保菌動物の尿で汚染された水や土壌から経皮的あるいは経口的に感染します。
 レプトスピローシス症の感染症法における取り扱いは2012年7月に変更され、全数報告対象(4類感染症)となり、診断した医師は直ちに最寄りの保健所に届け出なければなりません。

レプトスピローシス症の症状

レプトスピローシス症は急性熱性疾患であり、感冒様症状のみで軽快する軽症型から、黄疸、出血、腎障害肝不全を伴う重症型(ワイル病)まで多彩な症状が表れます。ワイル病は死に至ることもあります。
 5~14 日間の潜伏期を経て、発熱、悪寒、頭痛、筋痛、腹痛、結膜充血などが生じ、第4~6 病日に黄疸が出現したり、出血傾向も増します。

感染経路と対策:洪水後や水辺のレジャー時も注意

日本における過去の感染例をみると、半数近くの患者は、観光ガイドカヤックインストラクターなど河川でのレジャー産業に従事する人たちでした。近年では、このように水辺のレジャーを介した感染が増加しており、注目されています。
 また、ブラジル、ニカラグアなどの中南米、フィリピン、タイなどの東南アジア、熱帯・亜熱帯の国々での大流行に伴い、最近これら流行地域からのレプトスピローシス症の輸入感染例が報告されています。
 また、海外からの家畜、ペットなどの動物の輸入を介してレプトスピローシスが持ち込まれることも予想され、輸入感染症としても注目していく必要があります。

 レプトスピローシス症の流行地域では不用意に水に入らないこと、特に洪水のあとには絶対に入らないことが予防には重要です。

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 康復医学学会の研究素材「ホタテ貝殻焼成カルシウム」(粉末・水溶液)は、食品添加物に認定されている安心・安全素材です。しかし、その強アルカリ性特性や水溶液から発生する活性酸素種(特にスーパーオキシド:O2-)により、抗菌や抗ウイルス作用が確認されています。

 水溶液による手洗いやうがいによる感染症予防だけでなく、粉末や水溶液を家の周囲の側溝や水たまりへ散布することで、病原菌の拡散を防ぐことができます。まさかの時のために常備することをおすすめします。


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光・愛・感謝 村雨カレン

2015年6月5日金曜日

MERSウイルス対策

韓国のMERS集団発生、1,300人隔離! 

韓国で中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染者が増えています。

 感染者計30人、死者5人となり、感染の疑いのある人が約400人(5日現在)。このほか100人が検査中で、感染者はさらに増える恐れもあります。

 韓国保健福祉省は、さらに1,300人以上に隔離措置を取っています。日本人感染者はいません。同省によると、隔離対象となったのは、感染者と接触した疑いのある家族や医療従事者。9割が自宅、1割が医療機関などに隔離されています。

 ずさんな防疫管理で批判を浴びた当局は、隔離対象者に1日2回電話して状態を確認するなど対策を強化しました。しかし、隔離対象の50歳代女性が夫らとゴルフに出かけたことが判明し、統制の難しさを露呈。ネット上では、無関係の病院でMERS患者が出たとする虚偽の情報が流れるなど、混乱が広がっています。
 休校する学校も増え、ソウル近郊の京畿道を中心に小中高校など計230校に達しました。ソウル日本人学校(ソウル市麻浦区)は休校していませんが、5日に予定されていた校外学習の延期を決めたほか、手洗いとうがいの徹底など感染防止対策を行っています。

 朴大統領は、官民合同の緊急対策会議を開き、「これ以上(感染が)拡散しないよう万全を期す」と述べました。その上で、批判を受けた政府の初期対応の点検や感染経路の解明などを指示しました。

 日本も、中東諸国との往来が多くなっています。そのため、国内でも感染症法上の二類感染症へのMERSの追加、診療ガイドラインの整備や地方衛生研究所への検査試薬の配備など、行政面での体制強化が進められています。
 しかし、最初の患者が複数の医療機関を受診し、感染症指定医療機関に搬送されていく中で感染拡大が起こっている韓国の状況は、日本の臨床現場でも「対岸の火事」ではないかもしれません。

■有効治療薬のないMERS

中東呼吸器症候群(MERS)は、2012年に始めて報告された新型の感染症です。主に中東地域で広がり、その後ヨーロッパで、そして今年5月に韓国で確認されました。

 患者は発熱や下痢、肺炎などを起こします。世界保健機関(WHO)の調査では、致死率は約4割と高く、「全世界への脅威」と警鐘を鳴らしています。

MERSウイルスの感染経路と症状

原因はMERSコロナウイルスで、コウモリやヒトコブラクダなどの動物が感染源と疑われています。ヒトからヒトへもうつります。
 経路はよくわかっていませんが、構造が似ている重症急性呼吸器症候群(SARS)のウイルスは、せきやくしゃみ、排泄物などを介して感染します。
 MERSは当初、ヒトヒト感染はないと見られていましたが、ウイルスが感染しやすく変異した可能性も懸念されています。

 症状としては発熱下痢せきなどが表れ、多くの場合、肺炎を起こして呼吸困難に陥ります。また、腎不全になる人もいます。特に糖尿病や心臓病など慢性的な病気を抱えている人や高齢者が重症化しやすくなります。
 現時点でワクチンや有効な治療薬はなく、対症療法でウイルスが消えるのを待つしかありません。潜伏期間は2~14日間とされています。

感染防止策はないのか

まず、日本にウイルスが入ってこないようにする空港などの"水際対策"が重要ですが、潜伏期間がある以上、完全に防ぐには限界があります。2003年のSARS流行時も、体温の自動測定サーモグラフィを設置し、対策強化しましたが、すり抜けられるケースがありました。

 厚生労働省では予防策として、海外に行ったときにうがいや手洗いの励行、マスクの装着などを呼びかけています。

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 康復医学学会の研究素材「ホタテ貝殻焼成カルシウム」(粉末・水溶液)は、食品添加物に認定されている安心・安全素材です。しかし、その強アルカリ性特性や水溶液から発生する活性酸素種(特にスーパーオキシド:O2-)により、抗ウイルス・抗菌作用が確認されています。また、世界最強レベルのウイルスと知られるガチョウパルボウイルス(GPV)の不活化データ(東京農工大)もあります。
 水溶液による手洗いやうがいでの使用で、各種ウイルスの不活化が期待できます。
 ご家庭でのご使用はもちろん、海外旅行へ行くときには、ぜひ携帯されることをおすすめします。


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2015年6月3日水曜日

六月病対策

適応障害やうつ病も“六月病”?

「六月病」をご存じですか? 進学、就職、転職などで新年度から環境が変わった人が、 「体がだるい」「やる気が出ない」などの心身の不調を訴えることがあります。

 俗に「五月病」と言われましたが、最近は6月にも多くみられることから、「六月病」とも言われます。なぜ6月に多いのか? ゴールデンウィーク明け、研修期間が終わり本格的に仕事を任されるようになるのがちょうど6月ごろ、ということでしょうか。雨が多い季節というのも、気分を落ち込ませる要因のようです。
 「五月病」も「六月病」も、医学的な病名ではありません。昔からよくあるのは、社会的な対人関係スキルが未熟な若者が、異なる年齢層、立場の人と初めて関わり、悩んだり憂うつになったりする例。たいていは夏ごろまでには自然に治まります。いわば大人になるための通過儀礼のようなもの。

 しかし「六月病」には、通過儀礼では済まされない深刻な例も多く含まれます。その一つが「適応障害」です。これは、環境の変化などが大きなストレスになり、情緒面や行動面の症状が表れ、社会的機能が著しく害される、医学的な診断名です。
 適応障害になると、生活に支障を来すほど抑うつ気分になり、不安や心配が強くなりますが、ストレスの原因から遠ざかると症状は軽くなり、元気になります。
 最近よく耳にする「新型うつ」は、趣味など好きなことは楽しめるのに、仕事になると途端に憂うつになり、不安や焦りが強くなるというもの。わがままと誤解されやすいですが、これも適応障害の一種とみられます。
 また、「六月病」の中には、「うつ病」も含まれます。うつ病は「気分障害」の一つで、ストレスの原因を取り除いても症状が続きます。人事異動や転居などをきっかけに、抑うつ状態になり、何にも興味が持てない、自殺願望が出てくる、などの症状が続きます。厚労省の患者調査によると、うつ病の患者数は1996年では43万人でしたが、その後徐々に増え2011年には96万人と2倍以上になっています。うつ病患者はすでに100万人を超したといわれており、うつ病ではないが気持ちがふさぐうつ傾向の人は7人に1人というデータもあります。

 環境変化がある5、6月は様々なメンタルヘルスの問題が表に出やすい時期です。心身の調子が悪く、生活に支障を来していると人は精神科や心療内科で診てもらいましょう。
http://somvweb.som.umaryland.edu/

■「六月病」の対策

病気というほどでもないけれど、ちょっと調子が良くないという人は、次の三つのポイントを心がけてみましょう。

●生活リズムを整える

悩みや不安があると夜眠れず、起きる時間も遅くなりがちです。しかしできるだけ同じ時間に起き、4時間以内に太陽の光を5分以上浴びましょう(曇りや雨の日でもOK)。強い光に当たると脳内セロトニンが増え、それが覚醒・睡眠リズムをつくります。セロトニンは「幸せホルモン」とも言われ、精神を安定させる働きがあるのです。

●適度に身体を動かす

運動が好きな人は汗をかくといいでしょう。嫌いな人はラジオ体操のようなリズミカルな運動をしたり、15分間歩いたりするだけでも違います。速く歩いたり、ゆっくり歩いたり、風景を眺めて季節を感じたりします。野の花や夕焼けなどに「わあ、きれい」と声を出して言ってみると、心も温まります。

●オンとオフを意識して区別する

いつもオン状態だと交感神経が優位になり過ぎてしまいます。意識的にオフの時間をつくり、読書や音楽、映画鑑賞など好きなことをして気分転換をしましょう。

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【薬に頼る前に】

適応障害やうつの治療はカウンセリングなどの精神療法が中心に用いられ、補助的に薬が用いられます。
 薬は、主に睡眠薬、抗不安薬、抗うつ薬ですが、あくまでも症状を抑える対処療法です。また、たいていの薬は効果が出るまでに1~2週間を要し、逆に副作用はすぐに表れます。
 初期症状の段階で薬に頼ってしまうと、副作用のつらさや薬をやめる怖さから依存症に陥り、場合によっては本当のうつ病になってしまう人も少なくありません。特にSSRI(選択的セロトニン再取込阻害薬)の若年層への処方による凶悪な副作用についてはご存知の方も多いと思います。使用には十分な注意が必要です。
 不安感を改善する抗うつ薬の作用機序は、脳内のセロトニンやノルアドレナリンによって精神状態や気分の高低が決定されるという"脳内モノアミン仮説"を前提としています。
 当学会の研究素材の「ラフマ」には、セロトニン産生および脳神経細胞膜流動性への影響を示すデータがあります。ラフマ葉エキスの抗ストレス作用、睡眠改善、鎮静作用、血圧安定作用などが、六月病対策として期待できます。


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