2015年7月17日金曜日

「免疫」(生体防御システム)の働きを高める

実体を伴わない「免疫力」という言葉

昨今、テレビや書店で「免疫力」という言葉をよく目にします。「免疫力アップ」とうたった健康食品も多くあります。
 「免疫力を高めれば、病気にならない」と言われているのですが、違和感がぬぐえません。実は医科大学でも「免疫力」を教えていませんし、医学辞典にも免疫力の項は存在しません。

 そもそも免疫という言葉は、疫病(流行病)にかからないで済むという意味です。周りの皆が同じ病気にかかっているのに、ある人だけかからないというような事例から、ヒトには病原体から体を守る仕組みが備わっているという事実が認識され、それを免疫と呼ぶようになったのです。その後、免疫の仕組みは様々な異物、有毒物質から体を守るために働く生体防御システムであるということが明らかになってきました。ですから免疫システムがきちんと機能していれば、病気にならないと考えることは無理な話ではありません。

 しかし、この免疫システムは、現時点では客観的な計測ができません。免疫システムにはたくさんの種類の細胞の働きが関わっており、その代表が白血球です。では、白血球が増えれば免疫力がついたのかというと、全く違います。白血球が増えるのは、病原体を攻撃するために白血球が動員されている、まさに病気の状態だからです。白血球数は正常範囲にあることが健康を意味します。

 では、免疫力が高いことを示す数値はあるのでしょうか。通常、体内に生じたがん細胞が増える前に撃退する役割がある細胞の一つにナチュラルキラー細胞(NK細胞)があり、その数や細胞の活動度が免疫力につながるという仮説があります。これも、免疫システムのある一面にすぎませんし、NK細胞が関係しない免疫反応も多いので、免疫の代表としては扱えません。NK細胞が増えているのは、すでにがんや病原体の存在を意味している可能性もあり、むしろ危険信号かもしれません。

 つまり「免疫力」とは実体を伴わない概念に過ぎないということです。免疫力が上がった、下がった、というための客観的根拠は全くないのです。
 「○○を食べて免疫力アップ!」「××運動をすると免疫力が上がる!」などのうたい文句はすべて科学的根拠がないと考えられます。
 もちろん、将来研究が進み免疫力の客観的評価が可能になるのかもしれませんが、現状では難しいとお考えください。

■“免疫=生体防御システム”の機能を高める

  「免疫力」という言葉に実体がないということはわかりました。つまり様々な病気に対してそれぞれの免疫機能が働いているので、一つの食べ物や運動では病気予防はできないのです。

 しかし、病気を“予防する知恵とカラダ作り”や“病気・怪我からの回復力”という視点から、考えれば、いくつかのポイントが見えてきます。

 康復医学学会では以下の4つのポイントを明示しています。

1)血流(血液を流す)

酸素栄養素を届け、老廃物二酸化炭素を回収します。特に抹消の血流が悪いと薬の成分も届きませんし、酸素も行き届きません。
血液は全身の臓器や細胞に
 酸素が運ばれない場所には病巣が生じ、がん細胞は増殖します。
 また、熱の伝達も血液の役割です。冷え性の方は抹消で血流が滞っているのです。抹消血管は一層の細胞でできていますから温めても広がりませんし、血液は流れません。

2)睡眠(正常な睡眠をとる)

睡眠の目的は、心身の休息という意味ばかりではありません。記憶の再構築など高次脳機能にも関わっていますし、成長ホルモンは睡眠中に下垂体前葉から分泌されます。子供の成長をはじめ、傷の治療肌の新陳代謝促進なども睡眠時に行われます。
 また、睡眠を調節している自律神経のうち副交感神経が優位になることで、消化・吸収された食べ物をカラダに必要な栄養素に変えていきます

3)体力(エネルギーを作り出す)

ヒトの活動エネルギーは細胞内のミトコンドリアで産生されます。エネルギー産生が低下すると、細胞は分裂・代謝ができなくなり、酵素や神経伝達物質(ホルモン)、免疫物質など生命維持に必要な様々な物質を作ることができなくなってしまいます。
 免疫細胞が正常でないと免疫機能も正常に働きません。

4)環境(病気の要因を遠ざける)

病気の要因として考えられるのは、①ストレス、②電磁波、③有害化学物質、④重金属、⑤細菌・ウイルス・寄生虫――の5つです。
 特に①のストレスは、すべての病気の引き金になります。ストレスを溜め込まないよう自分なりの発散方法を見つけましょう。
 また、②~⑤の要因は日常生活の中でのちょっとした意識や生活習慣の改善で、ある程度は避けられるものばかりです。農薬、添加物を意識し、食べすぎに注意して、バランスの良い食生活を心がけましょう。タバコやジャンクフードは論外です。やめましょう。

 そして何よりも、マスコミの情報に振り回されずに、ご自身で納得できる正しい知識を身につけることが大切です。

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●現状、抹消血管を改善する薬はありません。当学会の主要研究生薬「HM-3000(特系霊芝)」には微小循環血流改善に関するデータがあります。
●ストレスがあるとセロトニンが不足し、眠りのホルモン・メラトニンの産生が低下します。睡眠の改善作用が認められている「ラフマ」には抗ストレス作用のデータもあります。
●脂肪や糖を燃やしてエネルギー産生効率を高めるには、十分な酸素と燃焼のための着火剤が必要です。着火剤「コエンザイムQ10」は年齢と共に減少しますので、サプリメントによる補給が必要です。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 村雨カレン

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