2015年12月2日水曜日

健康のカギ「短鎖脂肪酸」

2週間の食事の変更で大腸がんになりやすい体に?

大腸がんの少ないアフリカの人の食事を2週間変えただけで、瞬く間に大腸がんになりやすい腸の状態に変わってしまった――米国、英国、フィンランド、南アフリカ、オランダの国際共同研究チームが、科学誌に報告しました。

 南アフリカの農村地域では大腸がんは1万人当たり5人未満と少なく、一方、アフリカ系米国人1万人に65人と、10倍以上もの差があります。この差は何なのか――。

 米国食はアフリカ食より動物性タンパク質と脂質が多く水溶性の食物繊維が少ないことが、がんリスク増加の原因と考えられます。米国人は、大腸の胆汁酸の水準が高いほか、大腸の“短鎖脂肪酸”の量が低く、粘膜の増殖性のがんリスクにつながる検査値が高いことが分かっています。

研究チームは、50~65歳のアフリカ系米国人と南アフリカ農村地域の住民20人ずつに宿泊所を用意し、がんリスクに影響を及ぼす他の要素がない環境で、それぞれの食材と調理法で準備した食事を交換して2週間食べてもらいました。
 南アフリカの人は、高食物繊維・低タンパク質の食事を西洋風(低繊維・高動物性タンパク質・高脂肪の食事)に変え、アフリカ系米国人にはその反対を行いました。前後に便と腸内を大腸内視鏡で検査し、腸内の化学的・生物学的性質変化を2週間測定しました。

 その結果、米国人の方は腸内の炎症レベルが下がり、がんのリスクと関係する化学物質が低下。アフリカの人は、がんに関係する計測値が劇的に増加したのです。
 具体的には、腸内壁の細胞交替の速度、食物繊維の発酵の程度、がんリスクに関連する細菌の代謝活動、炎症に関する検査値などが、それぞれお互いのものに変わってしまいました。
 特に米国人では、腸内細菌の種類が変化。抗がん作用を果たすとされている“短鎖脂肪酸”の一つ「酪酸エステル」の産生増加がありました。酪酸エステルは、免疫の調整役である制御性T細胞(Tレグ)を増やすとして注目されています。腸内フローラの働きについては見逃せません。アフリカ系米国人では、食物繊維がおよそ10gから50g以上に増えたことが、がんリスク検査値の低下につながったと見られています。動物性タンパク質と脂肪の減少も役立ったようです。

 わずか2週間食事を変えただけで、がんリスクにつながる検査値が減少しました。逆に言えば、大腸がんのリスクを減らそうと思えば、食事内容を変えるだけで早期に成果は出てくるということです。
 決して遅すぎるということはなさそうです。
(Medエッジニュース)

■健康のカギを握る「短鎖脂肪酸」

脂肪酸には、炭素数12以上の「長鎖脂肪酸」、7~11の「中鎖脂肪酸」、6以下の「短鎖脂肪酸」があります。「短鎖脂肪酸」は、大腸内で、善玉菌が持つ酵素の働きによって行われる食物繊維(糖質)の発酵で生じます。
 短鎖脂肪酸は飽和脂肪酸です(不飽和脂肪酸には、短鎖及び中鎖脂肪酸は存在しません)。飽和脂肪酸は、肉類の脂肪や乳製品の脂肪に多く含まれ、中性脂肪やコレステロールを増加させ、動脈硬化を促進させる悪者‥‥これは間違いです。飽和脂肪酸がなければ、細胞膜はボロボロに崩壊し、細胞が存在できなくなります細胞膜形成に欠かせない栄養素なのです。ありすぎたり摂りすぎたりすると問題なだけの話です。

ミトコンドリアの活性、免疫の強化に

短鎖脂肪酸は、炭素の鎖の連結が短いために分解が容易で、すぐにエネルギー源として働きやすいのです。※体脂肪として蓄積されるのは、鎖が16以上ある脂肪酸であり、短鎖脂肪酸ではありません。近年大きな注目を集めている酢酸、酪酸、プロピオン酸も短鎖脂肪酸です。
・「酢酸」は脂肪合成材料です。
・「プロピオン酸」は肝臓における糖新生の材料として使われています。
・「酪酸」は大腸の主要部分の栄養素となります。

 これら短鎖脂肪酸は、水溶性の食物繊維や糖質の発酵で生じ、免疫機能の向上や、健康増進・維持への有益性が認められてきました。短鎖脂肪酸の95%は大腸粘膜から吸収され、すべての消化管と全身の臓器の粘膜上皮細胞の形成・増殖を担い、粘液を分泌させる働きをしています。
 胃液も腸液、膵液、胆汁もすべて短鎖脂肪酸が作っており、大腸粘液などは100%、短鎖脂肪酸をエネルギー源としています
 さらに、細胞内のミトコンドリアに働き、エネルギー活性化を促進します。また、腸のpHを上げ、殺菌力を高めます。がんのアポトーシス(プログラムされた細胞死)にも関わっています。
 つまり短鎖脂肪酸は、人間の体液(粘液)のかなりの部分を作り、細胞のミトコンドリアを活性させ、粘液の強化に寄与しているのです。

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短鎖脂肪酸を増やす食事を

短鎖脂肪酸を増やす材料は、熟した果物、わかめ、昆布などに含まれる水溶性の食物繊維です。穀物、大豆、キノコに含まれる不溶性の食物繊維も材料となります。
 ほかには、酢(黒酢)、梅干し、酢の物、らっきょう、ピクルス、漬物、キムチなどの発酵食品も、短鎖脂肪酸の材料になります。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 村雨カレン

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