2016年4月27日水曜日

疲労回復にはビタミンB1

寝ても抜けない“酒疲れ”はビタミンB1不足!?

Aさん(35)は会社の飲み会で痛飲して以降、体がだるくて仕方がない。充分寝ているのに体に力が入らず、食欲もない。イライラが続き、手足のむくみもある。気になって病院へ行くと、「ビタミンB1欠乏症」と診断された。

 「ビタミンB1には糖質をエネルギーに変え、脳や神経を正常に保つ働きがあります。B1が不足すると必要なエネルギーが作れず疲れやすくなる上、神経が乱れてイライラする、足がむくむ、心臓に問題が生じるなどして、最悪、亡くなることもあります」(弘邦医院 院長)

 かつて日本ではビタミンB1欠乏症は「脚気」(かっけ)と呼ばれ、結核と並ぶ2大国民病でした。
 精製した白米を食べるようになった江戸時代以降に患者数が増加。心不全などで、大正時代までに毎年数万人が命を落とした怖い病気で、日露戦争では日本兵の3人に1人が脚気に倒れ、2万8千人が死亡しました。

 現代では、豚肉、ウナギ、イクラ、玄米などビタミンB1が豊富な食品を普通に食べていれば問題ありません。但し、偏食ダイエットによる食事制限、一部の降圧剤などにより、B1不足に陥る可能性もあります。
「これまでビタミンB1は小腸で吸収されると考えられていましたが、最近の研究で胃の壁細胞で取り込まれることが分かってきました。そのため胃を切除した人や、一部の降圧剤など胃や腸での栄養吸収を阻害する薬は注意が必要です」(同院長)

 しかし、ビタミンB1欠乏症を最も警戒する必要があるのは、大量にお酒を飲む人。アルコールを体内で分解するには多量のビタミンB1が使われます。またビタミンB1は水溶性のため、大量のお酒を飲むと尿と一緒に排出されやすくなり、しかもアルコールは消化器の働きを低下させビタミンB1の吸収を悪化させます。そのため、食事をしてもビタミンB1不足で十分なエネルギーを作れなくなり、疲れを感じるのです。

 さらに怖いのはB1欠乏症が進行すると、認知症のような症状を起こすこと。「これはウェルニッケ脳症といい、脳内の神経障害により、まっすぐ歩けなくなったり、眼振が起きたり、物忘れをしたりします。中には本人が意識していないにも関わらず、作り話をするようになるケースも。見た目は病気と分からないから、人間関係を損なう原因にもなります」(同院長)。
 もちろん、B1不足、即、発症というわけではありません。軽度なら断酒し、3~5日のビタミンB1投与で多くは改善します。しかし、症状が重いと治療が長引くことがあります。疲れはビタミン不足が原因の場合があることも知っておきましょう。

■ビタミンB1不足を解消する

ビタミンB1は、 豚肉、うなぎ、玄米等に多く含まれ、その働きとして、糖質がエネルギーに変わるときに、必要な補酵素の役目をします。ビタミンB1欠乏症になると、食欲不振、倦怠感、手足のしびれ、むくみ、動悸等が見られます。代表的な欠乏症は脚気(かっけ)。過剰摂取しても排泄され、毒性は知られていません。
 ビタミンB1は「疲労回復ビタミン」とも言われ、肉体疲労に効果があります。ストレスで精神的な疲労を感じると、甘いものを食べたくなります。そこで糖質を摂ったとき、代謝を促すためにどんどん使われるのがビタミンB1です。結果、精神的な疲れに加え、身体のだるさや疲労感も招くという負のスパイラルに陥ってしまいます。

ビタミンB1の豊富な豚肉を効果的に摂るには

豚肉を夕食に取り入れるなどして、ビタミンB1欠乏症にならないように注意が必要です。
 豚肉と一緒に調理すると疲労回復ビタミンの吸収率を上げてくれるのが、にんにくニラ玉ねぎなど。全部ニオイが強い野菜ですが、この香り成分「アリイン」にパワーがあります。食べ方のコツは細かく刻んで香りをツンと出すこと。アリインは刻むことで「アリシン」という成分に変わり、油と一緒に加熱すると「アホエン」に進化。その状態で豚肉のビタミンB1とくっつくと、「アリチアミン」という成分に変わり、疲労回復の効果が期待できるのです。
 但し、炒め物については内閣府より「炒め野菜に発がん性物質のリスクあり」という最新研究が発表されています。

病院の栄養点滴に匹敵する疲労回復飲料!?

実は、毎日豚肉を摂らなくても、日本には昔から体力回復に即効性のある飲料があります。「甘酒」です。庶民は質素な食生活の中で夏を越すのは楽ではなかった江戸時代、甘酒を飲んで夏を乗り切っていました(甘酒は俳句の“夏”の季語です)。
 ご飯に米麹と湯を加えて温めておくと甘酒ができますが、分析してみるとブドウ糖がきわめて多く、20%以上にもなります。
 また、米のタンパク質も麹菌の酵素によって必須アミノ酸群に変えられて豊富に含まれています。そして、特筆すべきは、麹菌が繁殖するとき、ビタミンB1、B2、B6、パントテン酸、ビオチンなど、生理作用に不可欠な重要なビタミン群を作り、これを米麹にきわめて多量に蓄積させているということです。
 甘酒は米麹とお湯だけでも簡単に作れます。甘酒の一杯が豚肉に変わるほど、疲労回復に効果的なのです。また、ぬか漬けの“ぬか”もビタミンB群の宝庫です。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 村雨カレン

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