2017年6月1日木曜日

コレステロール

糖質制限で動脈硬化の危険が!?

3月、テレビ番組「人間ドックスペシャル」で俳優Mさん(51)は動脈硬化の危険性を指摘されました。一見、健康的なMさんの日常生活で、医師が注目したのは食事でした。炭水化物を控える「糖質制限」を続けていますが、ここに問題点が隠されていたのです。

  標準体型のMさんを番組で検査をしたところ、LDLコレステロールをHDLコレステロールで割った「LH比」の数値に異常がみられました。望ましいのはLH比2.0以下ですが、Mさんは2.4で、これは「動脈硬化のリスクが高まる」とされる値。なお2.5を超えると、「心筋梗塞、脳梗塞のリスクが増大する」。
 HDLコレステロールの標準範囲は40~85mg/dlLDLコレステロールは65~139 mg/dlです。Mさんの場合、HDLは問題ない数値ですが、LDLは182 mg/dlと大幅にオーバー。「善玉」「悪玉」と呼ばれるHDLとLDLですが、いずれも一定量は体に必要です。MさんのようにLDLコレステロールが多すぎて、HDLとのバランスが崩れていると問題になります。

番組はMさんの日常生活を取材。特徴的だったのは、ご飯やめん類を一切摂らない「糖質制限」をしている点です。1時間の愛犬の散歩を日課にし、家の中でも腕立て伏せや腹筋を欠かしません。仕事終わりにマネージャーと焼き肉店に立ち寄り、2人でカルビとロースを各2人前、タン塩とハラミ各1人前平らげたときも炭水化物を一切摂りませんでした。

 岡部クリニックの岡部院長(内分泌内科医)は、MさんのLH比のバランスが悪い原因に糖質制限を挙げました。「糖質を制限するということは、他のものが必然的に多くなる。動物性の脂肪、肉が多くなっている。動物性脂肪をたくさん食べると肝臓がコレステロールをたくさん作り、LDLコレステロールが多くなってしまう」(同院長)。

 端的に言うと、肉の摂り過ぎ。実は週5ペースで肉食だというMさん。対処法は肉を控えて魚を増やすこと。要するにLD比のバランスをとることが大切です。

 LDLコレステロールには、肝臓で合成されたコレステロールを全身に運ぶ役割がありますが、多すぎると血管壁にたまって動脈硬化の原因になります。一方のHDLコレステロールは、血管壁中の余分なコレステロールを回収してくれます。LDLコレステロールが多すぎるとHDLコレステロールが余剰分を回収しきれず、たまってしまうのです。

 “本当の悪玉”はLDLコレステロールではなく、「酸化LDLコレステロール」です。実はLDLコレステロールが血管壁中に入り込むだけでは問題は生じません。しかし、活性酸素により酸化することで「泡沫細胞」に変化、血管壁内にたまって動脈硬化が進むのです。

 LDLの酸化予防には、禁煙する、抗酸化食品を摂るなどの対策が必要です。

■善玉コレステロールを増やす食事を

コレステロールは人間の身体の筋肉や細胞にとって欠かせない存在です。不足すると血管は脆弱になり疲れやすくなります。人間の体内にあるコレステロールのうち、食物由来のものは全体の3割で、残りは炭水化物から肝臓でつくられたものです。
 LDLコレステロールは、"悪玉"と呼ばれ悪者扱いされがちですが、細胞や血管壁をつくる重要な役割があります。LDLコレステロールを減らすよりも、HDLコレステロールを増やす食事を考えるべきなのです。

 コレステロールに気を付けるには、脂っこいものを控えるだけでなく、炭水化物も併せて控える必要があります。余った炭水化物(糖)が肝臓で中性脂肪に変わるときにコレステロールもできます。消化しきれないコレステロールは脂肪として蓄えられます。空腹になると血中に出るので血液がドロドロになります。
 炭水化物は摂り方も大切です。GI値(食後血糖の上昇度を示す指標)の高い白米や白いパンは、一気に高血糖になるため、膵臓からインスリンが多量に出て、続けているとインスリンが枯渇して糖尿病になります。玄米やライ麦パンにしましょう。また、食べる順にも気を付けたいものです。野菜を先に食べるのは鉄則です。血糖値の急な上昇を防ぎます。

HDLコレステロールの高い食材

HDLコレステロールの高い食事は右表の「おさかなすきやね」を参考に、毎日摂るようにしましょう。
 ねぎをなぜ野菜に含めないかというと、ねぎには他の野菜にはない成分「アリシン」が含まれているからです。このアリシンは血液をサラサラにする成分です。
 また、動脈硬化の予防につながる物質「一酸化窒素(NO)」は、拍動流による血管内皮への刺激によって増えますが、実はHDLコレステロールを増やすことでもNOの産生を促進させることができます。

 積極的にHDLコレステロールを高めるものを食べましょう。


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 村雨カレン

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