2018年3月7日水曜日

「無添加」の実情

心ひかれる“化学調味料不使用”

 スーパーで、パッケージに大きく「化学調味料不使用」と書かれた人気の「だしパック」を見つけた若いお母さん。値段は張りましたが家族の健康のことを考えて購入しました。でも。家に帰ってラベルを見ると、「酵母エキス」「粉末醤油」などという文字が‥‥。以前読んだ本に「家庭の台所にないものは添加物と思え」と書かれていたことを覚えていた奥さんは不安になりました。
 では、化学調味料、酵母エキス、粉末醤油とはいったいどんなものなのでしょう?

■化学調味料

:本来天然素材の食物の中に存在するグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸などのうま味成分を人工的に製造し、ナトリウム(Na)と反応させてうま味を強めたものが「うま味調味料」と呼ばれるものです。アミノ酸系の「グルタミン酸Na」、核酸系の「イノシン酸Na」「グアニル酸Na」、この核酸系の2つを混合した「リボヌクレオチドNa」などがあります。これらはかつて「化学調味料」と呼ばれていましたが、消費者に人工的物質の悪いイメージを与えるので、業界では「うま味調味料」と呼ぶようになりました。

■酵母エキス

:酵母エキスの原料は、うま味を取るためだけに培養されたトルラ酵母や、ビール酵母。これらから抽出したエキスにはグルタミン酸や核酸の強いうま味が含まれます。だしパックに混ぜれば、だし素材の焼きあごやかつお節、昆布の使用量が少なくできます。

■粉末醤油

:粉末醤油は、油を搾ったあとの脱脂加工大豆(たん白質)を塩酸で分解して作った強いうま味を持つアミノ酸液(「たん白加水分解物」と呼ばれます)に、加工でんぷんを加えて粉末にしたものです。たん白加水分解物を使っているのは世界でも日本だけクロロプロパノール(発がん物質)が問題になっていますが、日本には規制が無いので、普通に使われています‥‥。

 うま味調味料は呼び方が変わっても添加物として扱われますが、酵母エキスたん白加水分解物(粉末醤油)は「食品」扱い。だから、だしパックにこの二つを使用していても「化学調味料不使用」と名乗れるわけです。



「〇〇無添加」「〇〇不使用」
という言葉。何となく、ですが、心ひかれませんか?
 あご(トビウオ)とか、かつお節をそのまま使えば、酵母エキスやたん白加水分解物などは必要ないと思うのですが、消費者の「安い・簡単・便利・きれい・オイシイ」の要望を満たすため、ありがたいことに商品メーカーは、様々な技術を駆使して作られた大量の化学調味料や化学加工物質の添加物を使って私たちに提供してくれているのです。

(出典:「素朴な疑問」(安部司著/不知火書房) 

■“調味料(アミノ酸等)”驚くべきその製法

「調味料(アミノ酸等)」というのは一括表示名です。様々な添加物である調味料の集合体(何種類使っているかは不明)ですが、主体はグルタミン酸ナトリウム(MSG)です。近年、メーカー側は「化学調味料」ではなく「うまみ調味料」というようになりました。うま味調味料は、かつては化学合成でも作られていましたが、今は以下のように作られています。

サトウキビからうまみ調味料!?

サトウキビから砂糖を取るとき、結晶化しない糖分が出ます。これを「糖蜜」と言いますが、結晶化を繰り返していくと、最終的にはこれ以上砂糖が取れないという「廃糖蜜」というものもできます。
 ある食品メーカーがバクテリアの遺伝子を組み換えることによって、これらの「糖蜜」からグルタミン酸を吐き出す「菌」(Glu-No.3株など)を作り上げました。
 この「菌」が作り出すグルタミン酸を精製して、炭酸ソーダで酸・アルカリの中和反応によって「グルタミン酸ナトリウム(ソーダ)」という化学物質に作り上げるのです。
「グルタミン酸」というのは天然に存在する物質で、白い結晶はほのかな酸味とうまみがありますが、味が薄過ぎて食品工業には使えません。しかし、「グルタミン酸ナトリウム」は完全な化学合成物質。グルタミン酸に比べて非常に強いうまみを出す物質です。しかも塩分が一緒にあると、より強いうまみを感じるようになります。
 この作り方をメーカーでは「サトウキビからうまみ調味料」と言い、特定の遺伝子組み換え菌による製法を「みそやしょうゆと同じ発酵製法」と言っているのです。

遺伝子組み換えによる調味料の問題点

このうま味調味料で問題になったことがあります。遺伝子組み換えによる添加物はいろいろ輸入されているのですが、その1つ、かつお、しいたけのうま味といわれる核酸系うま味調味料(リボヌクレオチドナトリウム)が、食品衛生法で定める「安全性基準」の審査を受けずに輸入、販売されていました(2011年12月)。
 遺伝子組み換えによる食品添加物の輸入は自己申告制であることから、申告がないと安全審査の対象にならず、無審査で大量輸入の恐れがあります。

 また、グルタミン酸ナトリウムについては遺伝子組み換え技術によって生産されても、最終物質がアミノ酸の純品であるから「健康影響の評価」は受けなくてもよく、「遺伝子組み換え」の表示は不要となっています。

 日本では当たり前のこの調味料ですが、海外では制限・禁止されています。アメリカでも、ベビー食品には使用禁止で、他の食品でも「NO MSG」の表示がないと売れません。日本でおなじみのカップ麺もアメリカでは「NO MSG」で製造、販売されています。       
(参考:厚生労働省医薬食品局食品安全部資料)


いつもありがとうございます。
光・愛・感謝 村雨カレン

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